私たちは「大峰山女人禁制」の開放をもとめます

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私たちは「大峰山女人禁制」の開放をもとめます

活動内容
◆「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコ世界遺産に登録された
 「大峰山(山上ヶ岳)」の女人禁制の開放を求める公開質問状

今年7月1日「紀伊山地の霊場と参詣道」がユネスコ世界遺産に登録されました。国内の文化遺産では最大の面積になり、文化的景観の概念で登録されるのは日本で初めてですが、わたくしたちには手放しでは喜べない大きな問題が残されています。それはその地域の一部分に女性が入れない区域が未だに存在したままだということです。1300年来、信者・修験者にとって特別な場所であり、歴史的に認められてきたものであるということはよくわかりますが、「女人禁制」が文化として世界に認められたということになると、ユネスコの世界遺産の意義そのものが問題です。

世界遺産登録記念として、「心の道ウォーク」として「大峰山山伏修行体験1日入門」(大峰山洞川温泉旅館組合)や「金峰山寺修業体験〜回峰行者と行く大峰体験修行〜」(金峰山寺)も計画されているようですが、参加者の募集は男性のみというように、規定されています。「世界人権宣言」や「女性差別撤廃条約」に照らすまでもなく、女性は、女性であるという理由だけで入り口で遮断されることは明らかに女性差別です。改正「男女雇用機会均等法」ができる前は、募集の段階で女性が排除されたのと同じです。また、3月にハンセン病を理由に宿泊者を拒否したホテルが人権侵害で追及されましたが、これと同じ人権侵害に他なりません。熊本県からは厳しい指導が入りホテルも謝罪したわけですが、今回大峰山洞川温泉旅館組合や金峯山寺にたいして何の指導もないのでしょうか。

宗教だから行政が口を出すべきことではないと遺産登録をするまではよく言われました。しかし、宗教上の教義には、まったく「女人禁制」という言葉はなく、寺は1997年に2000年の御遠忌をもって開放を明らかにしたのです。それを拒んだのは一部の信者であり、洞川地区であったこともよくご承知であると存じます。「アトス山」が引き合いに出されますが、修道士と巡礼者のみに制限しているところと、男性ならだれでものぼれるというのでは比較になりません。「女が登ると聖地でなくなる」や「女が登るんなら行かない」ということを公然と口にすること自体「日本国憲法」や「男女共同参画社会基本法」「奈良県あらゆる差別の撤廃及び人権の尊重に関する条例」「奈良県男女共同参画推進条例」「吉野町あらゆる差別の撤廃と人権擁護に関する条例」(吉野町)「『人権擁護村』に関する宣言」(天川村)の精神に反します。

また、世界遺産登録および記念事業には県の予算だけで2002年8200万円、2003年1700万円、2004年8300万円が計上され、この3年間だけでも1億8200万円という公費が使われており、女性の納める税金もその中にもちろんはいっています。

さらに、6月議会の吉川県会議員質問にもありましたように、結界門は村道に立っており、公道の通行規制は人命にかかわる場合などに限られているとありますので、結界門自体が法律に反しています。今は村道で管理責任も村にあるわけですが、昨年9月までは、里道で県に管理責任があり、結界門設置の許可も県がされたと受けとめます。さかのぼると1936年国立公園に指定された折りにも、地元洞川地区から女人開放を決議しましたが、本山聖護院などの反対との調停で立て札(女人結界)を立て事実上の立入禁止効果を持たせたのも県であります。以上の点からも、世界遺産登録を契機として、法にある公道管理の立場で適切な指導を行ってください。

7月31日「部落差別等撤廃と人権確立を目指す奈良県民集会」が盛大に開かれ、知事、県議会議長をはじめ多くの行政関係者の方々から、21世紀を人権の世紀にという思いが熱く語られました。また、県議会での吉川議員発言に対しても、知事は「悩ましい問題、価値観の重なり合いがあるので幅広い論議が必要、正式登録をきっかけに論議が熟することを願う」と答弁されました。昨年、欧州議会「機会均等」委員会は、アトス山に対しても「いかなる伝統、慣習も人権より優先するものであってはならない。宗教の伝統、秩序は遵守した上での開放を求める。」とし、「男女同権に反する」決議を採択しています。人権を尊重する流れをつくり、住民一人ひとりが人権の視点から、「女人禁制」の慣習にとり組む論議の場を望みます。

以上の点から、「男女平等」の実現が世界の潮流となった今日、「大峰山女人禁制」問題におけるわたくしたちの要望と質問に回答をおねがいします。

1 女性差別を含むものに公費を負担することは違法であり、県が女性差別を助長することに荷担していることをどのようにお考えですか。
2 「男女平等」に照らして、住民が「女人禁制」問題を議論できる場をいつどのように計画されているのか、具体的な計画を示してください。
3 「道路法」にそう立場から、公道の通行規制をどのように解決されるのか、その内容を示してください。
4 民主主義は、法律を守ることによって達成されていくと考えます。「男性のみ」と限定の募集をした金峰山寺や大峰山洞川温泉旅館組合にたいして、どのように指導されるのでしょうか。

以上、本質問への誠意ある貴機関のご回答を9月15日までにお願いします。
2004年8月28日
世界文化遺産登録にあたって 「大峰山女人禁制」の開放を求める会
       共同代表 大林美亀 木津 譲 藤原智代 源 淳子